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遺言・相続

遺言

 遺言は、満15歳以上の者であればできます。

遺言書の種類

自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言

自筆証書遺言

 遺言書の全文を遺言者の自筆で書いた遺言で、代筆やパソコンで作成したものは無効になります。日付と氏名の自署をして押印(実印でなくとも可)が必要です。遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなリません。

公正証書遺言

 遺言者が遺言内容を公証人に口頭で述べ、公証人が証書を作成したものです。証人2名と手数料の用意が必要となりますが、未成年者や相続人・受遺者等は証人となれません。

 証書の原本は公証役場に保管され、遺言者には正本・謄本が交付されます。遺言書の検認は必要なく、公証役場を訪問して作成するほか、公証人に出向いてもらうこともできます。

公正証書遺言作成時の公証人に支払う手数料

相続人又は受遺者1人毎に、1万1,000円に次表の額を加算した手数料です。

目的物の価額手数料
100万円以下のもの5,000円
100万円を超え200万円以下のもの7,000円
200万円を超え500万円以下のもの11,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下のもの23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下のもの29,000円
5,000万円を超え1億円以下のもの43,000円
1億円を超え3億円以下のもの43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下のもの95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超えるもの249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

 

秘密証書遺言

 遺言内容を秘密にして公証人に提出します。証人2名と手数料の用意が必要です。代筆やパソコンで作成することも可能ですが、遺言者の署名と押印は必要で、その押印と同じ印章で証書を封印します。

 代筆の場合は、証人欠格者以外が代筆する必要があります。遺言者の氏名と住所を申述したのち、公証人が証書提出日及び遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者及び証人と共に署名押印します。遺言書の入った封筒は遺言者に返却されます。

 自筆証書遺言に比べ、偽造・変造のおそれがないという長所がありますが、紛失したり発見されないおそれがあります。遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。

※署名とは、本人が自筆で氏名を手書きすることです。これに対して記名とは、自署以外の方法で氏名を記載することです。例えば、代筆、ゴム印を押したもの、ワープロで印刷する場合などです。
※証人欠格者とは、未成年者や法定相続人・受遺者及びその配偶者をいいます。

秘密証書遺言作成時の公証人に支払う手数料

一律に11,000円

相続

相続人

 相続人とは、亡くなられた方の財産を引き継ぐ人のことです。亡くなった人を「被相続人」、財産を受け継ぐ人を「相続人」といいますが、相続人になることができる者及びその順位は民法によって次のように定められています。

・配偶者   配偶者は、常に相続人となりますが、この配偶者は、法律上の配偶者のことであり、内縁の配偶者は含まれません。
・第1順位  被相続人の子
       配偶者が死亡している場合は、子が全部相続します。      
       胎児にも相続権が認められています。
・第2順位  直系尊属(被相続人の父母、祖父母)、親等の近いものが優先します。
・第3順位  相続人に子がなく、父母も死亡している場合には、被相続人の兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。
      

相続欠格事由

 次に挙げるような一定の欠格事由がある場合には、相続人となることができません。
 
1 故意に被相続人または先順位若しくは同順位の相続人を殺し、又は殺そうとして刑を受けた者
2 被相続人が殺害されていることを知っていながら、告訴・告発をしなかった者
3 詐欺や強迫によって、被相続人の遺言の作成、取消し又は変更を妨げた者
4 詐欺や強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、又は遺言の取消しや変更をさせた者
5 相続人に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者

代襲相続

 代襲相続とは、被相続人の死亡前に相続人の死亡、排除、欠格事由のため相続権を失った場合、その者の直系卑属(子、孫)がその相続人の受けるべき相続分を代わりに相続する制度です。ただし、相続を放棄した場合は、その者の直系卑属は代襲相続をすることはできません。

相続財産

 相続する財産は、相続開始の時に被相続人の財産に属する一切の権利義務です。金に換算できるもの全てであり、借金も当然含まれます。

相続分

遺言による相続分の指定

 被相続人は遺言によって、相続分を定めたり、第三者に相続分の指定を委託することを定めることができます。また、被相続人は、共同相続人の一部の者についてだけ相続分を定めることを、遺言によって定めたり、第三者に相続分の指定を委託することもできます。この場合には、残りの相続人の相続分は、法定相続分によることになります。

※被相続人は、相続分を指定することができますが、遺留分に反することはできません。遺留分に反する相続分を指定した場合には、その遺言が当然に無効になるのではなく、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求をすることによって侵害された部分を取り戻すことができます。
 

遺産分割協議による場合

 遺産分割協議とは、遺言による相続分の指定がない場合に相続人全員の話し合いをすることをいいます。遺産分割の協議は、共同相続人の1人でも分割の協議を請求すれば、他の相続人は分割に応じなければなりません。

 また、共同相続人全員の参加がなければ無効になり、全員の同意がなければ協議は成立しません。遺産の分割は、遺言や法定相続分どおりに分割するのが原則ですが、相続人全員の同意があれば、法定相続分と異なった割合で相続財産を分割することができます。

法定相続分

 法定相続分とは民法の規定により次のように定められています。

・配偶者と子     配偶者2分の1、子2分の1
・配偶者と直系尊属  配偶者3分の2、直系尊属3分の1
・配偶者と兄弟姉妹  配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
          (父母の一方を同じくする兄弟姉妹は、父母を双方同じくする兄弟姉妹の相続分の半分)

※ 子、直系尊属又は、兄弟姉妹が数人であるときは、各自の持分は等しくなります。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1であり、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。

遺留分

 遺留分とは、被相続人の遺言によっても害することのできない、相続人が相続に関して保障されている遺産の一部をいいます。遺留分権利者は、配偶者、子、直系尊属(親)のみで、兄弟姉妹にはありません。
 遺留分を侵害された場合は、相続を開始したときや侵害の事実を知った日から1年以内に相手方へ請求する必要があります。 

遺留分の割合

・配偶者と子     法定相続分の2分の1(配偶者のみ、子のみの場合も同じ)
・配偶者と直系尊属  配偶者は法定相続分の3分の2
           直系尊属は法定相続分の3分の1    
・直系尊属のみ     法定相続分の3分の1

相続放棄

 被相続人の一切の財産を相続しないことです。相続人は、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に単独で家庭裁判所に対して申し出て相続を放棄することができます。放棄した相続人に子がいても、その子は代襲相続することができなくなります。

相続財産の移転登記のための遺産分割協議書の作成

 相続財産の登記名義を変更しないまま固定資産税を払い続けておられる場合が見受けられますが、相続登記をしないままにしておくと、相続人に更に相続が発生するなどして、登記の手続をするのに必要な関係者が増え,手続が複雑になる場合もありますので、相続登記はできる限り早く済ませることをお勧めします。

相続による移転登記のための必要書類

遺産分割協議による相続の場合
・登記申請書
・被相続人(死亡した方)の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本),除籍全部事項証明書(除籍謄本)等
・住民票の写し
・相続人の現在の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
・相続関係説明図
遺産分割協議書
・相続人以外の他の相続人の印鑑証明書
・相続人の住民票の写し
・固定資産課税台帳価格証明書
・登録免許税を収入印紙を用紙に張り付けて提出
 税額は、不動産の価額の1,000分の4

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